カウンターディベロップメント、「ラダック 懐かしい未来」のヘレナの考え方

「ラダック 懐かしい未来」から引用
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・・・さらなる開発より、われわれに必要なのは「カウンター・ディベロップメント」(注4)」と私が呼んでいるものである。
 「カウンター・ディベロップメント」の初期段階の目的は、人びとが自らの将来を、十分な情報に基づいて選択できる手段を提供することにある。語り聞かせから衛星テレビまでの、ありとあらゆるコミュニケーション手段を使い、今の資本集約的、エネルギー集約的なやり方には、持続性がないという単純な事実を広める必要がある。究極的には自尊心と自立心を促すことが目的であり、このことによって、生活を豊かに維持するために必要な多様性を保護し、地域を基盤とする、本来の意味での持続可能な開発の諸条件を作り出していくことである。
 これまでの開発の致命的な欠陥のひとつは、定量分析が優先した、視野の狭い、短期的なものの捉え方にある。カウンター・ディベロップメントは、分化した専門分野や分断された知識を超え、工業社会の機構の基盤を明らかにする。それは、崩壊した家族や地域共同体に注目し、化石燃料に基づく社会の公表されない補助金を暴露し、経済の貸借対照表の借方に環境破壊を記入することになる。それとともに、カウンター・ディベロップメントは進歩の定義を新しくし、より広い意味を含む人間的な定義へと促し普及させる。そして世界各地で新たな道を切り拓きつつある、より持続可能で、地域に根ざした独創的な取り組み――数多くあるそうした取り組みのいくつかに目を向けさせるだろう。それは伝統的な農業システムの可能性を示すとともに、パーマカルチャー、生物ダイナミックス、活気に満ちた有機農業運動の数々など、新しい農業の動向に関する情報を伝える。・・・中略・・・・鍼治療やホメオパシー、そのほかの自然に基礎をおく健康法を求める声の高まりを広く世に知らせる。また世界中で起こっている環境保護、土壌保全、大気汚染や水質に対する関心をいっそう明らかにする。198~9P
 カウンター・ディベロップメントという名称ではまた認識されたいないが、明らかに同じ概念の範疇に収まる試みはすでに数多くなされている。・・・(中略)・・・原子力エネルギーの危険性についての資料を取りまとめ、東ヨーロッパのNGOに無料で配布しているグループ、農山村住民を都市に招き、スラムの居住者から離村にともなうさまざまな問題について学ぶことを通じ、農村の共同体の結束強化を図ろうとしているフィリピンの団体などがある。
 こうした試みの中で特に優れているものに、工業化された国に長期滞在した経験を持ち、西洋流の生活様式が虚構であることを体験した、第三世界出身の個人からはじまったものがいくつかある。そのよい例が・・・(中略)・・・
 ・・(中略)・・・、第三世界で活動する人びとにとって、西洋に滞在して近代化の暗部をじかに知る機会を得たことが、決定的に重要な意味を持っている。
 問題意識を持った西洋人が、自らのカウンター・ディベロップメントに取り組むことも同じく重要である。・・・200~201p

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先日紹介したラミスさんとこのヘレナさんの2つのカウンターデヴェロップメント、ほとんど同じようなことを表現しておきながら、微妙にニュアンスが違っているようにも感じます。

また、「必ずしも発展に成長は必要ない」というルモンド・ディプロマティックの記事が日本語で紹介されています。 http://www.diplo.jp/articles04/0407-5.html そして、「開発の自文化中心主義に抗して」という論文が同様に紹介されています。 http://www.diplo.jp/articles04/0411-4.html#1

これらのルモンド・ディプロマティックの論文も、もう少ししっかり読み込んでからコメントしたいと考えています。最初に紹介したほうの論文には「反開発主義者」批判などもあるのですが、それがどのような人間を指しているのかわからなかったりします。

しかし、ODAを増やしたりするありかたでない、違う方法が模索され始めているという現実をこれらの論文で知ることはできます。「もうひとつの世界」を模索する実践は世界各地で始まっていると言うこともできるでしょう。しかし、それはまだ小さい。


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