モラレス大統領誕生などについての太田昌国さんの論考

タイトルは
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グローバリズムか、「抵抗の五〇〇年運動」か
「抗米枢軸」形成が進むラテンアメリカ情勢を読む
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『季刊ピープルズ・プラン』第33号(2006年冬号、2006年2月28日発行)掲載

上記の記事をWebで読むことができる。
http://www.jca.apc.org/gendai/20-21/2006/500.html

ここで初めて、ボリビア大統領のファーストネームを知り、エボ・モラレスとぼくは同じ歳なんだということがわかった。

気になった部分をメモのかわりにカット&ペースト

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モラレスは大統領就任に当たって「民衆に従いつつ、統治する」という、サパティスタ独特の用語をそのまま用いてもいる。

閣僚の人選にも周到な工夫が見られ、ボリビアの民衆はおそらく、「政治」というものがかくも大胆に変わっていくものかということを、現在のところは実感しているのではないかと思われる。

モラレス政権が、歴代政権とは比較すべくもない「よりましな」政権であることに疑いはない。だが、同時に、国家権力を手中にしたことの困難さにモラレス政権がいかに「耐えて」いくかは、自ずと別な問題であろう。

 ボリビア政治にまとわりついてきた家父長的・縁故主義的な重用の誘惑、米国の妨害と揺さぶり、多国籍企業・国際金融機関との関係の如何、急進左派からの批判、軍部や寡頭勢力への態度、コカ葉とコカイン問題――などをめぐる困難な諸課題が、「権力」の座にあるモラレスを待ちうけている。

この未踏の領域で鍵を握るのは、サパティスタ的な問題意識、すなわち、「革命的」ないし「革新的」政府および政権党と、それを支える一翼でもある広範な社会運動の間に、いかに緊張に満ちた関係性が築かれるかということであると思える。

言葉を換えれば、この厳しい状況のなかで、モラレスを大統領にまで押し上げた、現代ボリビアの多様な社会運動は、政府や政権党からの自律性をいかに保ちつつ、その活動を持続しうるだろうか、ということである。

先住民性などの新しい要素をもって登場している社会運動は、「国家」や「政権党」ごときに包摂され得ない豊かさをもっているという範例を示すことができるなら、ボリビアとメキシコの経験は、確かに世界普遍的にも生かされる場をもつだろう。


 ここでは触れる余裕のなかったキューバ、ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイなどを付け加えてみても、ラテンアメリカ地域には、確かに「抗米枢軸」の形成が進んでいる。

世界に先駆けてネオリベラリズムに痛めつけられてきた同地域で、いち早くそれへの抵抗が高まっていることは実に暗示的であり、世界にとっての希望の証しである。

だが、これらの国々での試行錯誤は、政府・政権党あるいはポピュリスト型指導者によって主導されているという限界的な性格は見ておかなければならない。


===カット&ペースト ここまで===

「国家権力を手中にしたことの困難さ」
これはエボ・モラレス個人が問われることでもあるが、それ以上にモラレスを大統領に押し上げた社会運動が問われている困難でもある。南米の社会運動にはここまでの克服が求められている。

この「未踏の領域で鍵を握るのは」「現代ボリビアの多様な社会運動は、政府や政権党からの自律性をいかに保ちつつ、その活動を持続しうるだろうか、ということ」だと太田さんは書く。

そして、さらに
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先住民性などの新しい要素をもって登場している社会運動は、「国家」や「政権党」ごときに包摂され得ない豊かさをもっているという範例を示すことができるなら
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ともいうのだが、確かにそうあって欲しいとは思うものの、そこまで期待するのは酷過ぎるようにも思う。しかし、大統領という国家権力を手中にした社会運動がその手中にした権力との緊張関係を維持していくためには、それくらいの覚悟が必要なのかもしれない。

また、多くの民衆の期待のもとに誕生したブラジルのルラ政権が12月のWTO香港会議に見られるように世界中の脱WTOをめざす社会運動に失望をもたらした現実の背景に何があったのか、というようなことも見ていく必要があるのだろう。


大統領にできることの限界と社会運動が求めるもののギャップを両者がどのように理解し、同時に社会運動はそれでも求めつづけることができるのか。その困難は計り知れないように思う。
 小さな社会運動などのグループの中にも方針をめぐる確執があったり、そのなかの権力志向の人に振り回されたり、つまらない仲たがいが分裂につながったりということが少なくない。それを国家権力というスケールで、多くの人に理解される方法を探りながら続けなければならないわけだ。さらに、そういう裂け目を虎視眈々とねらう勢力も当然、存在する、そういう状況でもある。


それでも、だからこそ、新しい社会を模索し続けて欲しいと思う。
その努力を支持するために、国境を超えてつないでいく方法も探す必要があるだと思う。









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