いつ出るのか『エコ・フェミニズム』

そういえば、『エコ・フェミニズム』はそろそろ発行されたのか、と思って検索してみた。まだ発行されていないみたいだ。本当に出す気があるのか>新曜社


ずーっと前に、問い合わせたときは出したいみたいだったんだけど、何がこれを遅らせているんだろう。知り合いのS原さんは何か深い理由があると推測しているが、ぼくにはわからない。しかし、かなり変なことがあるのは間違いない。というのは


◎新曜社<新刊の御案内>【第164号】メール版 第13号

2001年1月19日発行


には、その翌月の発売ということで、『エコ・フェミニズム』が紹介され、目次が紹介されているだけでなく、416pという風に細かいページ数まで書いてある。ということはゲラはできているということだろう。もう5年半もたつのに、このゲラはどうなっているのだろう。このブログの内容を新曜社に送ってみよう。


以下、その<新刊の御案内>【第164号】メール版から該当部分引用




-----------------

『エコ・フェミニズム』

――脱開発とサブシスタンス社会へ向かって

------------------

2月上旬発売予定

マリア・ミース、ヴァンダナ・シヴァ著

後藤浩子・壽福眞美訳

四六判上製416頁・本体4200円(税別)

分野=現代思想・女性

ISBN 4-7885-0747-1


◆グローバル市場主義 再考◆

グローバル市場主義の本質は「一人勝ち」の弱肉強食であり、地球規模で文化の画一化を進行し、環境を破壊するものだという非難の声が世界中で高まりつつあります。本書はフェミニズムの立場からこうしたグローバリズムの飽くなき支配欲をいちはやく見抜き、国際的に高い評価を得た書として翻訳が待たれていました。先進国が推し進める「開発・遺伝子操作・生殖技術」は、自然と女性身体の領有・支配以外のなにものでもないと喝破し、市場を介さない「サブシスタンス(生存)経済」に希望を見い出しています。著者ミースはドイツの思想家・フェミニスト、シヴァはアマルティア・センと並んで著名なインド出身の科学者・エコロジスト。


◆目次

1 序論(ミース、シヴァ)

2 還元論と再生力――科学の危機(シヴァ)

3 フェミニズム研究(ミース)

4 キャッチアップ開発の神話(ミース)

5 環境の劣化――女性と子どもは最後(シヴァ)

6 誰が私たちの自然を敵にするのか?(ミース)

7 「地球村」の故郷喪失者たち(シヴァ)

8 母国の男性化(シヴァ)

9 女性は祖国をもたない(ミース)

10 白人男性のジレンマ(ミース)

11 女性本来の知と生物多様性の保存(シヴァ)

12 新しい生殖技術――性差別・人種差別的含意(ミース)

13 分割不能な個体から分割可能な個体へ

  ――「生殖のオールタナティヴ」のスーパーマケット(ミース)

14 自己決定――ユートピアの終焉?(ミース)

15 GATT・農業・第三世界の女性たち(シヴァ)

16 チプコー運動女性の自由概念(シヴァ)

17 消費者解放(ミース)

18 北を脱植民地化する(シヴァ)

19 民衆か人口か

  ――生殖の新しいエコロジーに向かって(ミース、シヴァ)

20 新しい未来像の必要性

  ――サブシスタンス・パースペクティヴ(ミース)

訳者あとがき/注/事項索引・人名索引


◆マリア・ミースの著書

『国際分業と女性―進行する主婦化 』日本経済評論社、1997.11.01.¥3,800、ISBN:4818809543

『世界システムと女性』 藤原書店、1995.2.1.¥4,660

ISBN: 4894340100


◆ヴァンダナ・シヴァの著書

『生物多様性の危機―精神のモノカルチャー』三一書房、1997.6.1.¥2,500、ISBN:4380972534

『生きる歓び―イデオロギーとしての近代科学批判』築地書館、1994.11.1. ¥2,900 ISBN:4806723487

『緑の革命とその暴力』日本経済評論社、1997.8.1.¥2,800、ISBN:481880939X

-----------------


とはいうものの、これを不思議がってばかりいられるような立場ではない。ぼくも関わっている、同じくミースの「サブシステンス・パースペクティブ」の翻訳作業も遅れに遅れている。どうして、ミースばかりがこんなめにあわされるんだろう。




ところで、この『エコ・フェミニズム』は平凡社の「フェミニズムの名著50」のなかで紹介されている。紹介を書いているのは萩原なつ子さん。


これによると、序論以降の19の論文は7部構成になっているらしい。

第一部 批判とパースペクティブ

第二部 サブシステンス対開発

第三部 ルーツを探る

第四部 エコフェミニズム対バイオテクノロジーによる新しい投資の領域

第五部 貿易のための自由か生存のための自由か

第六部 サブシステンス―自由対解放

第七部 結論―新しいビジョンの必要―サブシステンス・パースペクティブ


萩原さんもこの本の紹介の最後の節のタイトルを「サブシステンス・パースペクティブ」としている。以下、その節を引用

===

サブシステンス・パースペクティブ


 ミースとシヴァは本書で、エコロジーとフェミニズム、そして世界経済システム論のパースペクティブを統合して、現代社会を読み解くための新しい社会理論の構築と現在および未来世代のための新しいビジョンを示そうとした。地球上のあらゆる生命のために、生存と生活が尊重される新しい世界である。彼らはこの新しいビジョンを「サブシステンス・パースペクティブ」あるいは「生存のパースペクティブ」と呼び、伝統的なサブシステンス農業の地球的規模の回復によって実現されると考えている。<引用者注> サブシステンス農業を理想化しすぎているという批判もあるが、サブシステンス・パースペクティブは、自分たちの生存のために闘ってきたエコロジーやフェミニストの草の根運動から出てきたものである。「サブシステンス」はもともと生命維持、生存のための活動を表す語であるが、ミースとシヴァは、サブシステンスを人間の生活の根底にある営みであると認識している。そして「将来世代を産み出せない」資本の論理に基づいた科学・技術に対抗するオルタナティブの意味も含んでいるのである。


 (中略)


 サブシステンスとは、最低限の生命維持を保障するような悲惨さや貧困の代名詞ではなく、「生きること」それ自体なのである。そして、当然のことながら、ミースとシヴァの主張するサブシステンス・パースペクティブとは「男性、女性が、共に地球上の生命の創造と保存の責任を分担しはじめる」ことを意味し、「男性がサブシステンス・パースペクティブの理論家で女性がそれを実践する実践家」というこれまでの性別役割分業的二項対立は克服されなければならないのである。

==引用ここまで==


<引用者注>

このエコフェミニズムの後に出されている「サブシステンス・パースペクティブ」というタイトルの本では、「『伝統的』なサブシステンス農業のの回復」だけが主張されているわけではなく、都市の工場跡地での畑の例や東京近郊での農業の実践なども紹介されている。また日本でのミースの代表的な紹介者である古田睦美さんは以下のように書いている

==

 日本で三人の本が紹介され、サブシステンスを基盤とする社会を展望すると言われたとき、多くの人々から「それなら江戸時代に戻るのか」とか、「あなたは電気を使わないのか」という反論があり、極端な反近代思想だとか、小さな共同体運動というふうに取られたようです。そうではなくて、ミースたちの言っているサブシステンスというのは、ひとつのパースペクティブ、見方、方向性であると、私は言い表しています。どこにいても誰でも一歩サブシステンスの方向に向かって踏み出すことはできます。

 たとえば、労働条件がきつくて、コンビニで環境ホルモンの入ったお茶とお弁当を買わざるを得ないという状況になっている人は、一歩でも前に進み、労働時間を短縮する運動をやっていき、お茶を自分で入れて飲む時間を獲得していくということができればいいのです。されがサブシステンスのパースペクティブだと私は思っています。お金があって時間がない人は、食材を選んで買うことができます。お金がなくて時間があれば、農地を耕すこともできます。いろいろな選択肢があって、どこでもいつでも一歩進むことはできるのです。

「主婦」の向こうに

世界システムの中の女性の位置から

市民セクター政策機構ブックレット(3)



この記事へのコメント

この記事へのトラックバック