湯浅誠さんによる「貧困を決めるもの」

連れが1・26のシンポで購入した『貧困襲来』をざーっと読む。

「大量生産され始めた現代日本の<貧困>のカラクリを解く」というこの本の目的はかなり成功しているように思える。それも、とてもわかりやすく。
以下、貧困を決めるものは何かということにかかわる部分だけをちょっとメモ。

『貧困襲来』(湯浅誠著 山吹書店2007年)から
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<貧困>を決めるものが収入だけじゃないとしたら、あとは何なのか。私は「五重の排除」があると思っている。
1、教育課程(学校教育システム)からの排除
2、企業福祉(正規雇用システム)からの排除
3、家庭福祉(家庭による支え合い)からの排除
4、公的福祉(生活保護など)からの排除
5、自分自身からの排除

だ。この五つの排除が重なって、人は生活困窮フリーターとなり、もっと広く言えば<貧困>になる。 10p
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1~3はわかる。ちょっとひっかかるのが、4と5。
4の公的福祉は貧困者を対象にしたものではないだろうか。だとしたら、これを含めることはどうなのか。
しかし、公的福祉からの排除はやはり貧困に密接に影響する。それは生活保護からの排除ではなく、さまざまな公的な社会資源からの排除だと思う。例えば、敷居の高くて、なかなか親身になってくれるようには思えない職業安定所、あるいは公的な職業訓練施設、あるいは就労に公的サポートが必要な人へのサポート、これらのものが存在しないか、あるいは存在しても、そこへのアクセスができない(情報がない、知らされない、遠い)。
だからここは、「公的福祉からの排除」というより公的資源からの排除といったほうが正確なのではないかと思う。

「5」についてはこの本の中でわかりやすく説明されている。簡単にまとめてしまえば、すべてが自己責任だとされる社会の中で本人もそれに納得して「自分のせい」なんだとへこんでしまうこと。


そして、排除はこれだけではないのではないかと考える。友人関係とかコミュニティとか、その類の人間と人間の関係からの排除というのがあるように思う。たとえば、「困ってるなら、こんなのはどうだい?」って言ってくれるような人間関係。これをどう名づければいいのかわからないが、そのことも考えてみたいと思う。




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