「いのち・開発・NGO」古い読書メモ
古い記録の虫干しが続きます。
あるMLに書いた「いのち・開発・NGO 子どもの健康が地球社会を変える」(新評論 1998年)についての文章
以下、一部編集して転載
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Date: Thu, 11 Mar 2004 00:10:34 +0900
ぼくもデヴィッド・ワーナーは大好きです。
1998年?、彼が東京に来たときは2度も話を聞きに行ってしまいました。
彼は「もうひとつの保健・医療は可能だ」と主唱していると思うのですが、地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)を開発した人でもあります。
彼の書いた
「いのち・開発・NGO 子どもの健康が地球社会を変える」(新評論 1998年)
という本は、すごくラディカルです。
この本には例えば、こんな記述があります。
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1989年代には・・・構造調整借款の・・条件が悲惨な結果をもたらしたため、IMFと世銀は、ますます批判の対象になった。しかし、近年では、世銀はその失敗から学んだと主張して・・「貧困撲滅」に強力に関わることを宣言している。ただし、貧困層の状況をさらに悪化させる金融政策を一貫してとりつづけている世銀が、・・・自分たちで変えることができるかどうかは非常に疑問である。批判者の多くはこう指摘している。世銀が貧困を撲滅するのにもっとも効果的なステップは、おそらく、世銀自身を消滅させることである、と。
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また、この本ではサパティスタの蜂起について、以下のように書いています。
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メキシコのもっとも貧しく、もっとも搾取された先住民がしかけたこの小さな戦争・・・。・・・80年前のメキシコ革命以来、他のどの出来事にも増してこの反乱は、メキシコ国民の権利と健康を守るうえで果たした役割としては大きかった。・・・。
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で、この本の前書きには「日本の若い人たちへ」というタイトルがつけられています。
以下は去年、ちょっと頼まれてやった授業のレジュメに引用したものからの転載。
この前書きの結語部分(この本の日本語訳をぼくなりの適当な口語へ変換してます)
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日本のみんなへ、君たちは大っきなチャレンジに向かい合ってるんだと思うよ。合州国は世界の指導者として、振る舞ってるね。彼らが進めているのは、とても不公正な偏った開発。いま、日本はそこについていってしまっているけど、そうじゃない方向もあると思うんだ。それは一部の人の物質的な豊かさのためじゃなくて、すべての人がみんな健康でいられて、公正で人間的で、参加型の社会。
若いってことは、明日のパイオニア、明日の世界を作る人だっていうこと。(それは世界がどっちの方向に向かうとしても間違いのない話だね)。もし、今日、みんながこの世界を、新鮮な眼で一歩距離を置いてもう一度客観的に見て、地球と人類が直面している危機の原因を分析しようとすることができたら、そして未来に向けて一緒に手をつなげば、たぶん、みんながこれからつくるかもしれないこどもたちと、さらにそのこどもたちは、いまとは違う社会で暮らすことができるはず。そこは、いま住んでるこの社会より調和がとれていて、持続可能で、精神的にも豊かな社会。
世界中のすべてのこどもが十分に食べられないうちに、世界が平和を知ることは絶対ないんだよね。
==転載ここまで==
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