人びとの間に有機的関係を発展させるプロセス
以前、ブログに書いたことを再び
「コミュニティの集合性を破壊する日常生活に根差した問題に取り組むことで、人びとの間に有機的関係を発展させるプロセスを起動することが必要だ」(ラオ・キンチ)
ラオ・キンチは香港在住の活動家で研究者
PP研ではいろいろお世話になっている。
中国本土でのオルタナティブな視点での貴重な調査なども行っている。
ぼくも数年前のツアーでとても世話になった。
すごくいい奴(女性だけど)。
PP研のサイト内検索でいくつかでてくる。
『季刊ピープルズ・プラン』29号(2005年冬号)
◎グローバル化と地域ガバナンス――もうひとつの世界をしたから内から創る道
劉健芝(ラオ・キンチ)
『季刊ピープルズ・プラン』31号
■【特別寄稿】中日民衆の協力で平和をつくるための提案
――「反日デモ」の嵐をくぐって
『季刊ピープルズ・プラン』33号2006年冬号
■「人びとの世界」をつくる――日常生活の中で生きる効果的な運動
『季刊ピープルズ・プラン』36号2006年秋号
◎大きな文脈の中にある農村再建
季刊『ピープルズ・プラン』21号2003年冬号
【対論】アジアの「今」(1)
北京・香港「四人組」メキシコを歩く――グローバル資本主義、社会主義そして中国
……ラオ・キンチとのインタビュー(聞き手:武藤一羊)
で、冒頭に引用したのは
これは『季刊ピープルズ・プラン』44号2008年秋号
に掲載された文章の1節
で紹介している。
さっき、偶然に見かけたので、忘れないように再度掲載。
日本の社会運動の文脈でもこれが必要とされているのではないかと思う。
人びとの間の有機的関係をどのようにつくることができるのか。
日本で「コミュニティの集合性を破壊する日常生活に根差した問題」とはどのような問題か。
まず、運動体の中で「人びとの間の有機的関係をどのようにつくることができるのか」という問題意識をもつことも重要なのではないかと思う。
そのときに、「歓待」というような態度も必要になるのだろう。
運動体、とりわけ東京の運動体にそのあたりが欠けているのではないかという感じもする。
キンチのこの文章の前後関係も再び掲載しておこう。
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論文のタイトルは<<「市場の力」に対する中国農民の多面的な抵抗>>
ここで、中国農民の抱える問題に触れ、その多面的な抵抗について紹介した後、総論として以下のように書いている。
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抵抗とは、直接的な対決による反対の表明や、根本的な革命的断絶という姿でのみとらえられてはならない。私たちは、街頭での抗議行動や劇的な反乱にだけ焦点を当てる主流メディアのやり方から距離を置く必要がある。問題をすべてそのせいにできるようなただ一つの外部の敵というものは存在しないのだ。民衆の大義に敵対するもろもろの力は、巧妙で手の込んだ次元で活動している。だから、いろいろな力の複雑な関係の網の目のなかで行われる抵抗もまた多面的である必要があり、必ずしも一回の包括的で不意の一突きで獰猛な力を覆すことを狙うのではなく、多様な努力を通じる累積的効果をめざすべきなのである。すなわち、コミュニティの集合性を破壊する日常生活に根差した問題に取り組むことで、人びとの間に有機的関係を発展させるプロセスを起動することが必要だ。それは、一方ではコミュニティの人びとの相互依存を高度化しつつ、他方で、遠方の無名の力で動かされる市場による支配を覆し、それによって自身の市場への依存を断ち切るプロセスであるだろう。
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