『ノーマライゼーション』の意味について(昔書いたレポート、評価低かった)

 (b) 『ノーマライゼーション』の意味について、あなたが理解したことをあなたの言葉で述べなさい


というレポートを書く必要があって、以下のようなレポートを書いたら、一応及第点だったのだが、すごく低い評価で返ってきた。


どうも書こうとしたことが理解されていなかったような気がする。

表現力不足なのか。

もしかしたら、レポートを読む側の読解力不足なのではないかと、自分をなぐさめたりもしている。


以下に書いたレポートを転載

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 これまで私はノーマライゼーションを「障害者を拒絶しない社会がノーマルなのだから、そういう意味で社会をノーマルにしていこうという主張」だと誤解していた。しかし、それは間違いか言い過ぎで、「すべての人がノーマルな生活が送られる社会にしていこうとする考え方」というのが一般的な解釈だった。


 障害者運動の中でも80年代はこの言葉が盛んに使われていたが近年はあまり使われない。最近はインクルーシブとかインクルージョンという概念が使われることが多い。それがなぜかを考えてみた。


 障害者権利条約の影響はもちろんある。しかし、それだけではないだろう。「ノーマルな生活」というとき、施設ではなく地域で暮らすということが前提として語られる。「施設でなく地域で」という考え方が一般化してきたのでこの言葉があまり使われなくなったという面もあるだろう(欧米と比較するとまだまだ不十分だが)。「施設でなく地域で」という考え方は正しいと思うが、それを「ノーマルな生活」と呼ぶのがはたして妥当だろうか。地域で暮らせばそれだけでノーマルなのか、また、アブノーマルは否定されなければならないのか、とも思うからだ。


 このようなことを考えるきっかけになったのは倉本智明の「性のアブノーマライゼーション」という主張だった。倉本は「セクシャリティー/ジェンダーをめぐる既存の秩序を疑うところから始める必要」を主張し、以下のように書く。

「一部で言われるような『性のノーマライゼーション』とは正反対の、『性のアブノーマライゼーション』とでもよぶべき方針である。『ノーマル』、つまり、『正常』『普通』であることをめざすのでなく、そこからの『逸脱』を促進し、秩序の撹乱と再編こそをめざすのである。そうした作業のむこう側にしか、性をめぐる障害者の解放を見通すことはできないように思われる」

 この主張を「性」以外の分野にも援用できるのではないか。「施設でなく地域で」が前提ではあるが、それを従来の血縁家族中心の暮らしを標準とする既存の価値観のもとに置くのではなく、障害者の自立生活を、血縁・婚姻家族中心ではない新たな親密圏を構築するモデルにできないだろうか。障害者権利条約のもと、障害者が非障害者と同様に暮らすということは当然になりつつある現在、その先を見据え、既存の血縁家族だけが家族であるというような規範にゆらぎを与えるためにもノーマライゼーションの先にあるアブノーマライゼーションを提起する意味はあると思う。


 『ノーマライゼーション』の意味についての理解を記述せよという課題でテーマを逸脱した感もあるが、『ノーマライゼーション』を前提としつつも、それを超えたところに今後の課題の克服を展望したい。


参考文献 「障害学の主張」(石川准・倉本智明編著・明石書店2002年)

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これに対するコメントは

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講評

 「ノーマルな生活を送られる社会」というのは「ノーマルな生活を送ることができるよう支援が整っている社会」「誰もがノーマルな生活を送る権利を持つと分かっている社会」「ノーマルな生活とは日常のあらゆる面を含む」


 地域で暮らすことと施設で暮らすことの違いは何かを確認しましょう。違いと同時に地域社会には何があるのか、ひとが発達する条件としてそこには何があるのかを見つけてください。その理解なしにノーマライゼーションの意味は分からないのです。


 「性のノーマライゼーション」はセックスの在り方に「ノーマル」「アブノーマル」はない、多様な性があることを理解することです。ノーマライゼーションの「性」に関する当たり前は「障害者であっても性を楽しむ、経験すること、多様な性がある」です。ノーマライゼーションの歴史を含む参考文献を読んでください。


 「地域で暮らす=家族内で暮らす」ではありません。日本的一般論では理解できない本質がノーマライゼーションにはあるのでもう一度学び直しをしてください。

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書こうとしたことがまったく伝わっていないことがわかる。

やっぱり書き方の問題なのかなぁ?

だけど、倉本さんの議論も理解されてないよね、これ。


とりあえず、真意が伝わっていないということをコメントをくれた人に伝えたほうがいいかな?

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