**福祉工場のA型について(最初の試論) 2020年2月20日追記
昨日、区内の理学療法士会のみなさんが**福祉工場の見学に。
ぼくはそれが決まった後に、入った会議が二つあり、その隙間で質疑の時間に少しだけ顔を出した。
そこで**福祉工場のA型は通常のA型と違う側面があることを説明した。
そのことに喚起されて考えたことを忘れないうちに記録しておく。
とりあえずのファーストドラフトとして。
**福祉工場を考える
1、その歴史的な経緯
まず、忘れてはいけないのは、その歴史的な経緯。そもそも終身雇用の場所として作られた福祉工場という制度があった。それが制度としては、2005年に障害者自立支援法(現・総合支援法)制定時になくなった。
そこで、どのように生き残りを図るかを考えた結果、自立支援法の制度のなかで、福祉工場の制度に一番似ている継続就労A型を選ばざるをえなかった。しかし、それは福祉工場の制度とは似て非なる制度だった。とはいうものの、他に選択肢がない中でそれを選ぶことを、設置者としての地方自治体がそれを認め、就労している人の条件を下げないことを約束した。
そのような歴史的経緯があり、A型でありながら、通過型の事業所ではなく、終身雇用の場所であることが中心のA型として、存続することになった。前提として、そのことがまず、抑えられなければならない。
多数の雇用を守るために、このような形態にならざるをえなかったが、いっしょに同じ従業員として働いていた仲間が、一方は障害があるという理由で利用者としての受給者証をとることになり、障害のない従業員が形の上ではサービス提供という任を負うことになった。これは、積極的な選択ではなく、生き残りをかけた消極的な選択だったし、当時、私たちにそれ以外の選択肢はなかった。国による制度の変更に伴うものだったということは明記しておきたい。国にはその雇用を守る責任がある。
その責任は私たちが負うべきものではないという側面はありつつも、私たち自身がいつまでもそれに乗ったままでいいのか、それとも別の道を模索すべきなのかが問われているように思う。
2、私たち自身がいつまでもいまの仕組みに乗ったままでいいのだろうか
そのような経過もあり、事実として、私たちの福祉工場には就労継続A型という障害福祉サービス事業所として税金は投入されているし、その仕組みがあって、事業が成立している。
課題はそこにとどまり続けるのかどうか、ということでもある。私たちがどのような展望のもとに、何を求めて存在しているかということにも、つながる問いとして上記の問いは存在する。
ここから先は雑駁なイメージでしかないく、これからもっと精査していかなければいけない話だということを前提に、以下、思いつくことを書いてみたい。それは、**福祉工場がずっとめざしてきた『ともに働く』という理念をどう実現するかということにかかわる。
めざしてきたのは障害のある人もない人も共に働き、そのことで利益を生み出し、生活できる十分な給与が得られる、そんな職場を作っていくこと。横文字を使えば、ディーセントな労働環境と呼べるかもしれない。それはソーシャルファームという理念とも重なる部分が多い。
だから、考えられる方向として、ひとつには将来的にソーシャルファーム(あるいは社会的事業所、もしくは社会的協同組合という考え方もあると思うが、そりあえず便宜的にそう呼ぶ)に向かうそのプロセスとして、A型という形を使うという考え方があるだろう。
総合支援法でのA型に対する補助の体系は、おそらく諸外国のソーシャルファームへの補助の体系と比較して手厚い部分が多いと考えられる。どのような支援の形があれば、ソーシャルファームという形が安定して維持できるかということを念頭に置き、その方法をオープンにしていくことが求められているのかもしれない。
ソーシャルファームの理念にあるように、雇用だけが目的ではなく。事業そのものに社会的な意義が見いだされる必要があるだろう。それはローカルな経済を活性化するものでありたいし、できるだけフェアかつエシカルであることが望まれる。
それがディーセントな働き方で、普通に十分に食べていける社会の実現をめざすものでもあるとすれば、社会全体がそうならなければならないという展望を欠いて、自分たちだけが一定の公費(おそらく税金)を使って、ディーセントに働ける場所をめざすことは難しいと思う。
というような大風呂敷をひろげてみたが、日々の仕事は待ったなしで積まれており、それを淡々とこなしていかなければならない現実。ゆっくりたちどまって考える余裕はない。
もう、ちから尽きたので、とりあえず、今日はここまで。
)
もう少し寝よう。
(補足)
2020年2月19日に1回目のソーシャルファームの勉強会を行って、そこで喚起されたので、中身は変えずに、少し読みやすく整理してみた(つもり)。
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