「こんな就労支援者になりたい」という話(ケアコミ学会の「けあ・こみニュース8号」掲載)

ブログ掲載にあたって

日本脳損傷者ケアリング・コミュニティ学会という学会がある。

http://caring-jp.com/wp/

一般社団法人になっていて、HPには以下のように書かれている。

この法人の目的は、「脳損傷の人々並びに市民が同じテーブルにつき、地域において主体的な暮らしの実現及び脳損傷の人々がどのように改善するか等に関して学術研究、知識、技術の向上を目的にすべての人々が双方向に学びあい、その成果を社会に広め、共に生きるコミュニティの発展に寄与すること」

アカデミーの人で閉じられているわけではないところが、素敵なところだ。原稿依頼があって書かせてもらったのだけど、ニュースレターの実際の組版をやっているのも学会の広報委員会のメンバーでもある当事者。

就労支援の特集ということで700字書かせてもらいました。


「こんな就労支援者になりたい」という話

 就労支援にかかわってきて、なかには高次脳機能障害の人もいました。高次脳に限らない話ですが、大切なのはトレーニングよりもマッチング。支援者に求められるのは、その当事者がいま出来ることを見極めること。(できれば、これからの伸びしろと伸びるまでに何が必要なのか(時間と協力)も考えたいですが。)そして、その人がいまの状態で働くことが可能な場所を見つけることです。もちろん、本人が、いつ・どんな所で・どんな風に働きたいか、という話とのマッチングでもあります。本人の希望と現実の間で、気持ちに寄り添いながら働ける場所をいっしょに探すことになります。就労支援機関は、ともすれば企業の希望にそって本人の力を伸ばすことに注力しがちですが「このような配慮があれば、その人は働けるし、企業にもプラスになる」ということを企業に提案する力も就労支援者には求められます。そこでカギになるのは実際の現場での実習。就労の前に実習をはさむことは、本人にも企業にも大切だということを両者に理解してもらうことも大切です。就労の時間も短い時間から始めて調整できることが両者のプラスになるはず。

 ここまで書いたのは、前提として就労したいと思っている人の話です。あきらめている、あるいは、あきらめさせられている人も少なくありません。そういう人に対しては、あきらめている今の気持ちをゆっくり聞き、本人が持っている力に本人が気がつくプロセスを、あせらず時間をかけてつくることが大切。先日『「脳コワさん」支援ガイド』という本を読みました。当事者による従来なかった支援ガイドでした。支援に関わる人には「必読(マストリード)」と言えるかもしれない、と思ったのでした。

~~書いた原稿、ここまで~~

700字で書ききれなかったのだけど、2012年に職場でB型や就労移行を開始するための準備に2011年4月から関わって、立ち上げるときに、利用してくれる人を探していました。そこで出会ったのが、区立の自立訓練・機能訓練の事業所に通う人たち。多くは脳血管障害の後遺症の人たち。就労をめざしながらも、すぐには就労はできない彼や彼女が行ける場所が大田区には、ほとんどなかったので、脳損傷の人たちをたくさん迎えることができ、その人たちからぼくはたくさんのことを学びました。

ここには書き忘れていたのですが、そこで生きてきたのは、それまで福祉工場で障害のある人とない人が対等に一緒に働いてきたという経験でした。「ともに働く」ということを意識した就労支援です。この人は支援者で相談担当、とか決めないで、いっしょに働く中で見えてくることがたくさんあります。現場を離れて、そんな意識が薄れているのは残念な昨今でもあります。


そんな就労支援の経験をもとに書いたのが、上記の文章です。

「脳コワさん」支援ガイド メモ
https://tu-ta.seesaa.net/article/202011article_4.html

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