『社会はこうやって変える!』ことができるかな?その2(ほんの紹介42回目)
上田紀行さんの「覚醒のネットワーク」に関するブログからの抜粋とリンクを掲載。
https://tu-ta.seesaa.net/article/202109article_1.html
その原則を実現するために必要なのか「パワーと自己利益」だという話でもある。ここでのパワー概念の捉え方が重要だと思う。こんな風に書かれている。ふたたび、藤井さんの「本書の読み方」から。
・・・パワーという言葉は、日本語では、通常、「権力」と訳され、そこ には支配や抑圧のイメージが必ず付きまとう。したがって、パワー=権力は、 社会を変えようとする者にとって、多くの場合は、糾弾すべき悪の権化のように捉えられてきた。それに対して、著者によれば、パワーとは、あくまでも中立的なものであり、金銭や筋肉と同じで良くも悪くも使うことができる。そして、社会を変えるためには、パワーが絶対に必要である。著者は「正義は、それを実現するパワーがある時だけ手にすることができる」という原則を提示す るが、これは、正しさばかりに固執し、パワーとは距離を取り、批判や糾弾に 終始する多くの社会運動に対する戒めの言葉でもある。すなわち、私たちは、社会運動を展開する際、自分たちが正しいことを証明するために、新しい社会構想のビジョンや政府や大企業を批判する論理の構築には一生懸命精を出すが、それと同時に、自分たちのパワーを高めるための努力を同じくらいすべきなのだ。
しかし、それでは、組織的な権威や多額の資金的なパワーも持たない多くの 一般市民が、どうやってパワーを手にすることができるのだろうか。著者は、 他者との関係性(信頼関係や協力関係)の中にこそ、パワーが存在しているのだ と主張する。何ら成果を上げられず、負け続けていたとしても、正しいことを 唱え続ければ、やがて多くの人々の心に響いて、社会が勝手に変わると信じ、孤立主義の潔さをよしとするようなメンタリティは、単なる自己満足でしかない。とにかく、社会をよりよい方向に変えていきたいと思う者は、関係性を通して、パワーを作り出していくしかないということである。これが、コミュニ ティ・オーガナイジングの起点となる考え方だと言えるだろう。ⅳ‐ⅴ
「パワー」、確かに微妙な言葉だ。「CHANGE THE WORLD WITHOUT TAKING POWER」という本があった。翻訳・出版された本のタイトルは『権力を取らずに世界を変える』となっているが。これは権力奪取をめざさずにローカルから世界を変えていくというような話だったようなおぼろげな記憶がある。しかし、途中で挫折して最後まで読んでいない(涙)。おそらく自治=オートノミーの重要性みたいなことが書いてあったと思う。それに対するパワー(権力)というような表現もあると思うので、この本で行われているように、明確に定義して使うことが重要なのだろう。パワー(権力)に対抗するためにパワーでぶつかるというようなことでいいのかという問いかけ。しかし、ここで描かれているパワーは暴力や単純な実力行使ではない。自己利益の話に行く前に紙幅が…。興味がある人は読んでみて。
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「ほんの紹介」で、この本についてはここで終えようかとも思っていたのですが、もう1回、続きを書きました。
https://tu-ta.seesaa.net/article/202110article_9.html
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「CHANGE THE WORLD WITHOUT TAKING POWER」に関しては
(参照
https://tu-ta.seesaa.net/article/200706article_6.html
https://tu-ta.seesaa.net/article/200705article_17.html など)
また、上田紀行さんの「覚醒のネットワーク」には、こんな風に書かれている。
古い型の運動は「権力」を握っている「強者」を「弱者」が打倒し、権力の座から引きずり降ろすことを目標としていました。しかし、新しい運動の目標はそうした表面的な関係の逆転ではありません。自分が権力を握って強者になろうとするのではなく、この世界に強者と弱者を生みだす構造そのものを超えていこうとするのです。
参照 https://tu-ta.seesaa.net/article/200809article_6.html
ここにホロウェイとの違いなども書いています。
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