『菌の声を聴け』メモ

菌の声を聴け

タルマーリーのクレイジーで豊かな実践と提案

渡邉格・麻里子

https://mishimasha.com/books/9784909394514/


以下、読書メーターに書いたメモから

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調布の野菜食堂みさと屋さんで借りて読んだ。鳥取に移ってからの話。智頭町は住み心地が良さそう。そして、発酵や菌の話は興味深い。いまの支配的な価値観にも疑問をぶつけている。  とはいえ、前作に比べると、その支配的な価値観と調和し、同伴する感じも強い。確かに反体制だけでは暮らしていけないのだが…。  智頭町の中の地域がいい方向に変わりつつある、というのは好ましい話だと思う。 ちょっと気になったのは、娘さんを鳥取の私立の学校に入れること。本人が望んだという話ではあるが、地域の学校は変わらなければならないのでは?
コメント(7)2022/06/08

とは言え、地域の学校まで変えていくことを著者に求めるのは無理があるだろう。 教育の体制は容易には変わらない。 そこに傾注する気力が問われてしまう。 さまざまな方面で努力しているような著者たちに現状以上の努力を求めるのは酷だろう。06/09 04:07

これは鳥取の東の方の話だが、ぼくが育ち、19まで住んでいたのは鳥取の西の端の方。 文化はちょっと違うのだが、地方が抱える苦悩は少しは理解できる。地方の苦悩については、この本では書かれていないが。 そう、この本には否定的な話はほとんど出てこない(本人の失敗談を除いて)。どんな地域にもコンフリクトはあり、それが移転につながったのだろうが、智頭町には智頭町のコンフリクトがあるはず。この作品もある意味、地方の生き残りを模索した本と言えるかもしれない。次回作ではそのあたりに焦点を当ててもらえたら面白そう。06/09 04:16

「資本主義に豊かな多様性をもたらす方法は」として「もっと弱いものが生きていける社会を実現すること」とある。  「もっと弱いものが生きていける社会を実現すること」は、とても大切で、必要とされていることだと思う。  しかし、資本主義の下でそれは可能なのだろうか? 確かに旧来の「社会主義」も「もっと弱いものが生きていける社会を実現すること」は出来なかった。資本主義とは違う原理で社会が回っていく仕組みが求められているのだと思う。しかし、それが何かを明確に語ることは、ぼくには出来ない。06/10 01:23


116頁では長持ちする商品をみんなが求めるようになれば、資本主義社会でも価値を蓄積していけるはず、と書かれている。もしかしたら、著者は市場と資本主義を混同して使っているのではないかとも思った。資本主義とは異なる原理で社会が動くとしても、そこに市場がないわけではないだろう。交換価値に支配された市場ではなく、使用価値原理に基づいた市場を想定した場合、それは資本主義とは別物なのではないだろうか? 06/10 02:59

154頁では、「資本主義社会で生き延びるために、経営や販売に関する知識や技術が必要」というフレーズ。確かにそうだと思う。生き延びることは重要。しかし、「生き延びなければいけない」というエクスキュースは時に危険だ。自分のことを考えながら書いているのだが、生き延びるために意に沿わないことをしえいないだろうか? 不正に目をつぶったりしていないだろうか? 06/10 03:06

逆に解釈すると、この本に書かれているのは、資本主義社会の中で、その価値観や波に飲み込まれずに、意に沿わない生き方をしないために、機械や技術が必要だということなのかもしれない(216頁)。確かに飲み込まれずに生きることは、とても大変で、卓越した技術や知識が必要になるのだろう。それだけでせいいっぱいっていうか、普通に生きてる市井の人間にはそれは難しい。しかし、普通の人間も、この資本主義の倒錯した価値観を裏返していく作業に参加したいと思うのだった。06/10 03:14

著者には資本主義の価値観の中で技術などでそれに飲み込まれずに生きるということを超えて、資本主義の倒錯した価値観をベースにした社会を裏返していくというふうに考えて欲しいと思った。現に彼らがやっていることに、その可能性があるのではないか、とも思う。

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