葉々社のこと。店主の小谷さんによる紹介「梅屋敷で本屋を開業して」

好きな本屋が梅屋敷に出来た。

名前は葉々社

近くに好きな本屋がないので、本を買う時は本屋で買いたいと思いつつも、けっこうネット経由で購入していたが、ここで買いたいという本屋が出来て、すごくうれしい。

で、たくさんの人に紹介したくなった。店主の小谷さんに頼んで『おおたジャーナル』という大田区のミニコミに紹介記事を書いてもらった。

2023年1月号 https://ojhirobablog.wixsite.com/otajournal/post/%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%9F%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%AB2023%E5%B9%B41%E6%9C%88%E5%8F%B7

去年の12月の話だ。小谷さんにはぼくのブログへの掲載の許可をもらっていたのに、すっかりさぼっていて、いまになってしまった。

以下、紹介します。


梅屋敷で本屋を開業して

葉々社

小谷輝之


HP https://youyoushabooks.stores.jp

Twitter @youyousha_books

住所 大田区大森西6-14-8-103

営業時間 10:00〜20:00

定休日 月曜日・火曜日

電話 03-6695-9986


 大阪で生まれ育ち、京都にある大学に通い、就職で東京に出てきた私にとって、土地との縁は一期一会のようなものである。東京に来てからは練馬→藤沢→石川台→シンガポール→石川台の順に引っ越しをした。基本的にはどこも「住めば都」であろうと思っているので、「絶対にこの街で暮らしたい!」というような気持ちは微塵もない。

 そんな私が2022年春、大田区梅屋敷の地に本屋「葉々社(ようようしゃ)」を開いた。大学卒業後、ずっと編集者として生きてきたのだが、50歳になるタイミングで本を「作る」立場から「売る」立場へと変化を求めたわけだ。梅屋敷を選んだ理由は、小上がりスペースがある物件が偶然見つかったから。京急梅屋敷駅も人生で初めて下車するというレベルで、特別な思い入れがあったわけではない。店舗物件は古い木造家屋で、わずか10坪ほどの小さな本屋ながら、開店当初から幅広い世代のお客さんに本を見てもらっている。入口には緑色の暖簾をかけて、直射日光が本に直接当たるのを防いでいるのだが、この暖簾のおかげで「あなたの店、入りにくいわねえ」とお客さんから指摘されたことは一度や二度ではない。私がすかさず「どのへんが入りにくいですか?」と質問すると「一度、店に入ると何も買わずに出られない気がする」という答えが返ってくることが多い。「それは店にとってはいいことじゃないですか」と付け加えると、店内には少しばかりの笑い声が響く。つくづく街に場を作るということは、コミュニケーションが大事だなと感じる瞬間である。

 店内には私が2年の歳月をかけて選んだ2,000冊の新刊と古本が並ぶ。人文・社会科学・自然科学の本をはじめとして、海外文学や詩・言葉、デザイン、アート系の本をバランスよく仕入れている。小上がりには壁を利用した展示スペースがあり、出版社のフェアやイラストレーター、写真家らの作品展示を行っている。土日は遠方からの来店も少なからずあるものの、平日は地元のお客さんが中心になる。昼休みに立ち寄ってくれる人、仕事帰りに顔を見せてくれる人など、この半年間で常連と呼べるお客さんが、葉々社にもできたことは本当にありがたい。これから時間をかけて交流を続けることで、地域の人たちといっしょに多様な本の世界を楽しみたいし、個々人が必要としている本をしっかりと届けていきたい。開店当初は、知り合いもいない見知らぬ街のひとつだった梅屋敷の地もきっと「住めば都」になっていくのだろう。

 最後に、街に作ったからには街の人たちに便利に使ってもらえる本屋になりたいと思う。読書好きのご年配がいれば、できる範囲で配達を行いたいし、シングルマザーやシングルファーザーがいれば、その子どもたちの読書環境を整えてあげたいとも思っている。ご要望やご希望があれば、ぜひ、連絡してください。

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葉々社(東京) 考えるきっかけになる1冊に出会える
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