おおた障がい施策推進プラン(2024~2026年度)へ意見を提出した
おおた障がい施策推進プラン(素案)への意見募集https://www.city.ota.tokyo.jp/kuseijoho/ota_plan/kobetsu_plan/fukushi/syougaisyahukushi/soanpabukome.html
昨夜、締め切りの20分前に提出しました。
3年後の次回こそ、サンプルとして、できるだけ早めに書いて、みんなに意見を出してもらえるように呼びかけたいけど、出来るかなぁ?
最後に失語症者向け意思疎通支援事業の早期実現にむけて(パブコメのお願いなど)と過去3回提出した、このプランへの意見の記録URLを貼りつけた。
2024~2026年度おおた障がい施策推進プランへの意見
目次
1、全体の枠組について
2 「発効された」という表現について
3 権利条約の内容について
4 策定プロセスについて
5 日中活動の場について
6 地域移行について
7 就労支援について
8 教育について
9 高次脳機能障害者への施策について
10 災害時の対応について
11 相談支援について
12 支援付き一人暮らしについて
1、全体の枠組について
枠組みについて
前回のパブコメ募集時に、今年2月に亡くなった茂野俊哉さんがフェイスブックに書いた問題点の指摘がある。
以下にそのまま転載。
おおた障がい施策推進プラン(素案)の閲覧とパブコメの期限が過ぎてしまったのだが、今回も「障がい施策推進プラン=障害福祉計画=障害者計画」などという、そもそもの、積年の問題はそのままなんだろうなあ。それを指摘する人もないのかなあ。
障害者計画って、障害福祉サービスだけではなく、情報・コミュニケーションや国際協力も視野にいれてねって、内閣府は言っているわけだが。
https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/zenbun/zuhyo/zuhyo1_45.html
この課題は今回も残されたままである。障害者計画として、福祉や教育以外も視野に入れた計画にすべき。
2 「発効された」という表現について
「1 計画策定の趣旨と背景 (1)障害者権利条約の批准と国内法制度の整備」の冒頭部分で
「我が国では、国際条約である「障害者の権利に関する条約」が、平成26年に発効されました」
という文章表現、「発効しました」の間違い。細かい日本語の用法の間違いではあるが、ここに受動的な態度が象徴されているような気がした。つまり、国連障害者権利条約についても、捉え方が受動的なので、このような用法の間違いが起きるのではないか。以下のサイトに間違いの説明があった。
以下、根拠。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13110743833 から
『発効された』という言い方の、『れ』は、受身・可能・自発・尊敬のどの意味でしょう?
昨日NHKニュースで「昭和55年に日米犯罪人引渡条約が発効されて…」というニュースを見ましたが、この「発効されて」の「れ」の意味が分かりません。ちなみに下記ニュースでは、『発効した』という言い方です。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130723-00000020-kana-l14
(略)
こういう場合には、「発効した」としか言わないものと思ってましたが、「発効された」という言い方があるんでしょうか? また、もしあって仮に意味が受身ならば、これを能動態で言った時の主語はどれなのか、も教えてください。
ベストアンサー
2013/7/26 22:50(編集あり)
単に不適切な表現と考えるのが妥当です。受身にしたかったのでしょうが。
「発効する=効力を持つ」という自動詞であり、受身にはなりません。まさかとは思いますが「発行する」につられた誤りかも、というのが「まさか」ではない可能性が大です。
「発酵される」というのと同じレベルの誤りでしょう。
ちなみに、「実現する」が自動詞(現実になる)でもあり他動詞(現実にする)でもあることとは、まったく無関係な問題です。
「発効する」に、他動詞としての用法の余地はありません。
3 権利条約の内容について
「2、障害者権利条約の批准と国内法制度の整備」について言及するのであれば、2022年9月に出された「国連の権利委員会による初めての審査が行われ、9月9日に総括所見・改善勧告が公表されたこと及び、その総括所見・改善勧告の内容に触れるべきだと考える。そこに権利条約を批准した国が守るべき基準が記載されている。仮に、その勧告と異なった方針(入所施設や分離教育)をこの施策プランに含めるのであれば、異なる方向を使わざるを得ない理由を明示すべきだろう。
国からの指示でこの計画が策定されているという側面は否定出来ないが、自治体の計画でなのだから、総括所見の内容へ教育や施設入所に関して抵抗する姿を見せる国の顔色を見て書くのではなく、国際的にどうなのかという幅広い視野を持つべき。
また、権利委員会が最も重視したのが19条「自立した生活および地域生活への包容」と24条「教育」。そこへの踏み込みが必要だと考える。
参照
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/474044.html
4 策定プロセスについて
8頁に掲載されている基本理念には「地域で 暮らす皆さん自身が安心して暮らせるよう、行政のみならず、地域福祉の推進の主体となる地域 住民、団体、企業等が主体的に取組を進めていくことをめざしたもの」と書かれており、大切な理念だと思う。また、取組の横断的な「視点2」にも「 地域の多様な主体の参加の推進」が謳われている。
この計画の策定にこそ「地域の多様な主体の参加の推進」や「行政のみならず、地域福祉の推進の主体となる地域 住民、団体、企業等が主体的に取組を進めていく」ことが求められていると考える。計画を実のあるものにするために大切なのは、策定プロセスへのそれらの多様な主体の参加。
大田区のある職員に聞いたところ、この計画の下書きの作成は民間のコンサルタントにお金を払って依頼しているとか。コンサルタントを依頼すること自体が悪いこととは思わないが、せっかく依頼するのであれば、計画策定への「多様な地域の多様な主体」が参加できるような計画策定のプロセスへのファシリテーションが出来るようなコンサルを依頼すべきではないか。
参加型のワークショップなどを重ねて、時間をかけて案を練り上げ、案を策定していくプロセスに多くの人を巻き込むプロセスを作ることが、結果的にその計画の実施に際しても、生きていくのではないかと考える。
現状で行われているのは、公募委員が2名入ったとはいえ、基本的に区役所が決めた推進会議の委員が議論してという形だが、その会議でさえ、議論の回数や時間を考えると、区役所が決めた案に多少の色を添える程度のことしか、出来ていない。
障害当事者の参加もまだまだ限定されていて、充分とは言えない。『条例のある街―障害のある人もない人も暮らしやすい時代に』(野沢和弘著ぶどう社2007年)には千葉県での障害者計画の策定プロセスが紹介されている。千葉県は障害者計画も夜の会議で策定したという(14p)。当事者も参加し、民主導で計画をまとめたとのこと。こんな手法が求められている。・・・(条例の策定に当たっては)各地域でのタウンミーティングも繰り返されている。また、障害福祉課長が自ら知的障害当事者の委員のところへ資料の説明にいったという。見習うべきところは多い。
また、自立支援協議会の部会には障害者福祉の現場でさまざまな課題を体験している人材が豊富だ。会長が参加しゐ、一定の意見の反映はなされていたものの、以前行われていたように、そこから意見を吸い上げ、伝える仕組みを作ることも必要だと考える。
5 日中活動の場について
5-1(大規模化問題)
前回の計画策定時に推進会議での充分な議論がないまま、数か所の生活介護施設の定員増が決められ、それに沿った施設建設が進行している。その定員増計画の抜本的な見直しが必要だと考える。1か所の施設を大規模化するということのデメリットが充分に議論される必要がある。また、現状、区立のB型事業所が多数あるが、そこでの高齢化・重度化という現実があり、作業の内容としては生活介護施設と同様のサービス提供となっている。であれば、数か所の生活介護施設の定員を倍増させるのではなく、B型単独の事業所の多機能化を考えるのが現実的だと考える。
また、この度の建て替えで生活実習所や南六郷福祉園周辺の緑地が失われることの意味も推進会議で議論された記録がなく、そのことの意味も再考していただきたい。
5-2(”障害程度”による区分けの問題)
誰かが判断した「障害」の程度(医学モデルで見られることが多い)によって、この人は生活介護で日中支援、この人はB型で就労支援と分けてしまう現行の制度にも問題があるのではないかと考える。国が決めた仕組みなので、容易には変えられない部分もあるとは思うが、自治体裁量の運用でなんとかなる部分もある。また、それ以前に現状でのその振り分けに問題がないか、国に定めた施設体系は果たして現行のままでいいのかという検討を開始することが求められていると考える。
5-3(障害者とされていなくても日中支援が必要な人も活用できるように)
日中支援が必要な人を障害者に限定するのではなく、障害があってもなくても、日中支援が必要な人が支援を受けられるようなインクルーシブな場所にしていくための転換も検討に入る時期が来ていると考える。
6 地域移行について
地域移行という文字で検索をかけたが、どの部分を見ても、どのように地域移行を進めるかという具体的な方法が不足していると感じた。障害別にきめ細かく、入所型の福祉施設からの地域移行をどのように実現していくか踏み込んだ施策が求められている。
知的障害者が本人の希望と関係なく、地方の入所施設に入らざるを得ない状況がいまだにある。入所型の施設を選びたくないのに、選ばざるを得なかった障害者へ、地域に帰って生活したいかどうかという確認を行い、帰りたいという意向が示された人に対しての対応の仕組み作りが求められている。
精神病院からの地域移行に関してはいくつか具体的な施策も書かれているが、28頁に紹介されている精神病院へ入院している人への現状の地域移行の仕組みに関して、ここには「非自発的に病院に入院している方」への取り組みについてしか書かれていない。それ以外の方の地域移行がどう取り組まれたのか、これからどう足り組もうとしているのかわからない。
「自発的」とされる長期入院患者の自発性も疑う必要があるし、そのような人へどんな支援があるのか、この計画素案では読み取れなかった。もっとわかりやすく明記して欲しい。
同時に、精神病院や入所型の施設に入れずにすむ、あるいはそれを選ばざるをえないとしても、その場合は期間を限定し、戻る方策を含めて決めるというようなありかたが求められているが、その現状分析と今後の施策についてもどうしようとしているのかわからなかった。。
7 就労支援について
7-1 構造変化に対応した新しいネットワークの仕組みづくりを
数年前の自立支援協議会就労部会の調査で示したように、就労移行支援という施設類型が出来てから、大田区における障害者就労の形は大きく変化しているにもかかわらず、例えば就労促進担当者会議はその変化に応じて会議のあり方を変えているようには思えない。変化に対応した新しいネットワークの仕組み作りが問われている。
7-2 障害者優先調達・公園清掃・おおむすび
大田区が施策として行っている障害者優先調達の取り組み、その中でも大きな位置を占める公園清掃に関する記述が見当たらなかった。現状でそれらは有益な働きをしていると考えるが、その施策についての評価や今後の方向性も記述されるべき。
「おおむすび」について、それが生産活動支援施設連絡会のブランドであり、この連絡会で共同受注や恣意主生産品の共同販売を行い、そのネットワークの事業で23区の中でも、この課題に関してはトップレベルの成果をあげていて、自主生産品の販売も
7-3 大田区本体の職員採用や委託先での障害者雇用
大田区の障害者職員採用に関して、会計年度任用としての非常勤採用のことは記載してあるが、本体での職員採用に関する記述が見当たらない。大田区として、正規職員の障害者採用に関して、より積極的に取り組む必要がある。また、大田区から指定管理や民間委託が行われているところが多数あるが、それらの事業所での障害者雇用がどのようになっているかを大田区は把握しているかどうかさえ不明。そこでの障害者雇用の達成も課題であり、委託先に求める政策が必要。
8 教育について
施策の方向性として「インクルーシブ教育の視点から、障がいのある児童・生徒と障がいのない児童・生徒がともに学ぶことをめざすとともに、一人ひとりの教育的ニーズに応じた教育が受けられるよう、学校・関係部局・医療機関との連携等を推進していきます。」と書かれているが、インクルーシブ教育をどう進めるかという施策がない。そのための政策を打ち出すべき。障害者権利条約の国別審査でもここが大きな問題として指摘された。
地域の学校で、支援級やサポートルームに頼るのではなく、普通級でどのようにともに学ぶことを実現するのかという施策が求められている。その(インクルーシブ教育を促進する)ための教職員研修の充実させ、インクルーシブな教室が求められているという意識をまず学校側が持ち、障害児を受け容れる児童や家族がそのことを理解するための手立ても求められている。
9 高次脳機能障害者への施策について
いくつかの他区では、すでに実施されている求められている。「失語症者向け意思疎通支援事業」の実現に向けて、2024年度から準備に入り、2025年度には実現する計画が必要。
10 災害時の対応について
福祉避難所への障害者受け入れの窓口となるはずの学校避難所だが、そこで福祉避難所と連携した障害者受け入れの訓練を行っていない。学校避難所の運営協議会に福祉避難所のメンバーを招き日常的な交流をはかるとともに、実際に災害が起きたことを想定した受け入れ、トリアージの訓練をする必要がある。
また、2023年度から着手している相談支援事業所と連携した個別避難計画づくりについても、この推進プランに盛り込むべき。
11 相談支援について
計画相談を行い、サービス等利用計画を作成する事業所が不足し、相談支援を探すのに苦労しているという例は枚挙にいとまがない。89頁に相談支援体制の拡充が必要という記載はあるが、具体的にどのように拡充するかというプランがない。質の高い相談支援事業所を量の面でも確保するために、いくつかの他市区町村でも行われているような市区町村による独自の物理的支援(例えば品川区のように)など、体制拡充のための具体的施策が求められている。
12 支援付き一人暮らしについて
国連障害者権利条約の締結国としての日本の審査にあたったメンバーによれば、グループホームも障害者施設の一形態であり、障害者にとって望ましい生活とは言えないという話だった。それに従えば、知的障害者がさまざまな支援を入れて一人暮らしをするということがもっと推進されるべき(同時にグループホームの質や量での充実も現在の日本社会では必要とされていると考えるが)。しかし、この推進プランでは知的障害者が一人暮らししていくことがほとんど想定されていない。障害者が支援付きで一人暮らしを行う住居の確保や、それを支える仕組みを作っていくことを推進プランに明確に含める必要がある。
~~以上~~
失語症者向け意思疎通支援事業の早期実現にむけて(パブコメのお願いなど)
は https://tu-ta.seesaa.net/article/501741977.html
過去に書いたパブコメは以下
https://tu-ta.seesaa.net/
おおた障がい施策推進プラン(2018素案)への意見
https://tu-ta.seesaa.net/
2021 おおた障がい施策推進プラン(素案)への意見(
https://tu-ta.seesaa.net/
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