『食べる経済学』メモ

以下の読書メモを読書メーターに残していたことを、ブログ( https://tu-ta.seesaa.net/article/202209article_4.html )の既読のLOGが教えてくれた。1年半前の22年の夏のものなのに、すっかり忘れていた。

以下、こちらにもコピペで残しておく。タイムスタンプはすべて2022年

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PP研で開催されている読書会のために読んだが、読了が間に合わなかった。本の冒頭で市場システムが持ち上げられるが、次の章からは、ずっと、何もしないで市場にまかせていればいいという話ではない、という例が出てくる。市場をベースにしながら、地球環境や健康にいい「食べる」「食べ物を生産する」ありがたを人々が選ぶためにどうしたらいいか、という話が描かれている。しかし、遺伝子組み換え以外の遺伝子操作を無条件で肯定しているのはどうかと思った。
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ブラジルでは飼料用作物生産のために農地が使い捨てられている。(34頁) 使い捨てられた農地が自然に再生するためには何百年もかかる。つまり、将来耕地に出来る土地は減り続けている。(31頁)

09/06 06:25
tu-ta

大事なのは、限られた資源を無駄なく配分することで可能になる複数の選択肢があって、その中から、社会にとって最も望ましい選択肢を実現させること。このような基準で考えると、市場という仕組みは、実在する他の仕組みに比べて、かなり優れた仕組み(40頁)、と書かれているが、この本の中には市場に任せていて、うまくいっていない、市場に任せていると持続不可能になる事例がたくさん描かれている。

09/06 06:32
tu-ta

食糧援助の二つの問題。1,依存の問題。理由、食糧確保は国家の最低限の責務。解決策は農業発展への投資。援助に頼るとそれへの関心がなくなり、農業の停滞・衰退。援助への依存が深まる。加えて、援助国に逆らえなくなり、国家の独立性を保てなくなる。 2,経済の問題。援助食糧が大量に出回ると、食料価格が急落。深刻な被害を受けるのは被援助国の農家。そのほとんどは貧困層。また食料生産する農家が減少し、さらに援助に頼ることに。 なので、援助するに際しては、それらへのバランスが必要。48-49

09/07 02:10
tu-ta

続いて、市場の発展に分業が不可欠だという話が展開される。しかし、それが食料消費と生産の距離を広げる。第3章は食料市場の限界という話になる。ここでは、明確には書かれていないように感じたが、食品ロスの問題も、食品を市場にまかせているから、そうなると言えるのではないか。食品ロスを防ぐためには市場とは別の仕組みが必要なのではないか? 食品偽装の問題も市場の仕組みに起因するのではないか? 市場の仕組みだけではこれらの問題をなくすのは構造的に難しい(109p)と書かれている。

09/07 02:54
tu-ta

確かに市場の仕組みが優れている面はある。しかし、市場にだけ任せていれば、貧しい人や国には食料が回らず、貧しい人はより貧しくなったり、大量の食品ロスが生じたりする。そこに市場以外の仕組みが必要になる。その困難な課題に、この本は答えていると言えないような気がするのだが、どうだろう?

09/07 03:11
tu-ta

PP研で行われた読書会の中田さんによる詳しい報告はhttps://food-mileage.jp/2022/08/02/blog-389/中田さんはマイルドに報告を書いているが、この本には決定的に欠落している視点があるように思えてならない。

09/07 03:43
tu-ta

しかし、確かに考えるきっかけを与えてくれる本であることは確かだ。 著者も市場の仕組みを持ち上げておきながら、市場の仕組みでどうにもならない問題をたくさん書いているし。明確な解決策がないとも書いていたように思う。 同時にローカルな地域循環に軸足を移していくという方法を推奨してきたが、確かにそれだけでは足りないのかもしれないと思った。

09/07 04:26
tu-ta

そして、市場が支配しているこの社会で、ローカルな地域循環を軸とした社会にどのように転換していくかという具体的で実現可能なロードマップを書くことに誰も成功していない。気候危機で破滅に向かう社会にブレーキをかけることに失敗しているだけでなく、こんな状況で戦争が行われ、危機は深化いていく一方だ。破滅を見届けるしかないという絶望的な気分にもなってくる。まあ、ぼくが生きている間には破滅することはないだろうけど。しかし、あきらめたらゲームオーバーなので、見えない可能性にかけて、できることを続けるしかない。




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